さて、現在はマーケティング法務検定に向けて勉強しています。
下請法、特定商取引、景品表示法など、結構有名な法律についても基本的な知識を身に着けられるので、なかなかに勉強になるのですが、かなり覚えることが多いです。
例えば下請法について、親事業者と下請け業者の定義がいくつかあったり、親事業者の禁止行為が10件近くあったりと1つの法律だけでも覚えることが結構多いです。
ただしこの禁止行為ですが、支払いの遅延をしてはいけないことや、受領拒否の禁止など、ビジネスをしているうえでは常識の世界である話ばかりですので、頑張って覚えようとせずとも普通に業務をしているのであれば問題なく進めることは可能です。
個人的には、薬機法や特定商取引などあまり身近ではない法律については、知らないことばかりでしたので、そこら辺の知識を1から理解するのに苦戦している状況です。
そんなマーケティング法務検定ですが、ビジネスで役立つであろう知識についていくつかまとめてみましたので、今回ご紹介します。
はじめに
マーケティング法務検定は、国際実務マーケティング協会が主催する検定となります。
2021年に開設されており、ここ最近できた新しい検定です。
主にマーケティングや広告に関する正しい法知識を知り、営業活動に活かす力を習得することを目的とした検定です。
試験概要などの試験に関する内容は記事にしておりますので、そちらをご覧ください。
消費者契約法
消費者契約法の目的
消費者が事業者(法人や団体)と契約するとき、両者の持っている情報の質・量や交渉力に格差があります。このような状況下において、消費者の利益を守るため、消費者契約法が施行されました。
不当な勧誘による契約の取り消しや、不当な契約条項の無効などを規定しています。
どのような場面で契約が「取消し」や「無効」になるのか見ていきましょう。
契約の不当な勧誘行為に対する取り消しの規制
不当な勧誘により締結された契約は、消費者は後から取り消すことができます。
1. 嘘をついた(不実告知)
事業者は、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者が事実であると誤認した。
・「いつでもやめられる」という説明だったので申込んだが、後に1年以内は解約できないということが分かった。
2. 不利になることを言わなかった(不利益事実の不告知)
事業者が、重要事項について不利益となる事実を故意に消費者へ伝えなかった。
・証券会社の営業マンからか株式投資信託の勧誘を受け契約したが、元本割れすることがある事については説明を受けていなかった。
3. 必ず値上がりすると言った(断定的判断の提供)
事業者は、将来に変動する不確実な事項を確実であると消費者に伝えた。
・証券会社から、ある株購入の勧誘を受け「短期間で5000円まで値上がりします。」と言われ契約した場合。
4. 通常の量を著しく超える物の購入を勧誘した(過量販売契約)
事業者は消費者にとっての通常の分量を著しく超えることを知っていたが勧誘をした。
・「前に買ってもらったものよりいい商品が出た」などと業者に勧められるまま、繰り返し契約させられる場合
5. お願いされても帰らない(不退去)
消費者が事業者に対し、退去すべき旨の意思を示したにも関わらず事業者が退去しなかった。
6. 帰りたがっているのに帰さない(退去妨害)
消費者が退去する旨の意思を示したのにも関わらず退去させなかった。
7. 就職セミナー商法等(不安をあおる告知)
消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、就職・結婚などの願望の実現に過大な不安を抱いていることを知った事業者が、不安をあおり契約をさせた。
8. デート商法(好意の感情の不当な利用)
事業者が勧誘者に好意の感情を抱き、かつ勧誘者も同様の感情を抱いていると誤って信じていることを知りながら、契約しなければ関係が破綻すると告げた。
9. 高齢者等の不安をあおる(判断力低下の不当な利用)
消費者は加齢や心身の故障により判断力が著しく低下しており、生活の維持に過大な不安を抱いている。事業者はそのことを知りながら、不安を煽り契約を勧めた。
・「この食品を買って食べなければ、今の健康は維持できない」といって勧誘
10. 霊感商法など
事業者が霊感などの特別な能力により、消費者にそのままでは重大な不利益が生ずることを示して不安を煽り、契約が必要と告げた。
11. 契約前なのに強引に代金を請求する等(契約前に債務の内容を実施等)
契約締結前に、契約による義務の全部または一部を実施し、実施前の現状の回復を著しく困難にした。
不当な契約条項に関する無効の規制
消費者の利益を不当に妨害する契約条項は無効となります。
1. 事業者は責任を負わないとする条項
損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償の一部を免除する条項は無効
2. 消費者はどんな理由でもキャンセルできないとする条項
消費者の解除権(契約を解除する権利)を放棄させる条項は無効です。
3. 成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項
事業者に対し、消費者が後見開始などの審判を受けたことのみを理由とした解除権を認める条項は無効
4. 平均的な損害の額を超えるキャンセル料条項
キャンセル料のうち、契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項は無効
5. 消費者の利益を一方的に害する条項
任意規定の適用による場合と比べ、消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効
無効、取り消しの違い
さて、ここまで「無効」や「取り消し」といった言葉を使ってきましたが、この違いについてご存知でしょうか?
取り消し:取り消すまでは有効、けれども取り消すと最初から無効になることをいいます。取り消しをしなければ、有効のままとなります。
同じようなニュアンスなので混同させがちですが、正しい日本語を使っておきたいです。
おわりに
今回は消費者契約法に関する条項をご紹介しました。
身近にも潜んでいるような話もあったのではないでしょうか。
法務担当者だけでなく、普通のビジネスマンにも役に立つ内容ではないかと個人的には思いました。
まぁ、この内容ってほんの一部で、まだまだ学ぶことはたくさんあるんですけどね・・・
そんなマーケティング法務検定ですが、そろそろ試験時期が近づいてきました。
引き続き、勉強してまいります。