巷ではよく「著作権違反だ!」、「著作権に反している」等といった内容を目にしますが、この著作権って複数の権利から成り立ってできているということはご存知でしょうか。
映画を撮影したら著作権違反、画像を勝手に使用したら著作権違反、曲を無断で使用して商売したら著作権違反、等というように著作権は非常に広い意味で使われることが多いと思います。
そんな著作権ですが、ビジネス著作権検定の勉強している際に1つ1つの権利について解説しておりましたので、今回はこちらについてご紹介いたします。
記事の内容はこちら!
はじめに
ビジネス著作権検定は、ビジネスや日常生活においてますます必要とされる、著作権に関する知識および関連する知識について、その基礎的な理解、具体的な裁判例・ビジネス実務における慣例を基準とする事例判断での応用力をそれぞれ測定することを目的とした検定になります。
こちら、資格試験の主催をしている株式会社サーティファイが運営している検定です。
ビジネス著作権検定(初級)についての紹介は以下の記事に載せていますので、こちらをご覧ください。
著作権は権利の束である!
著作権
法21条~法28条
まず著作権というのは法21条から28条までに定められた権利を指します。
つまり、この複数の著作権により構成される権利の束なのです。
この方が著作権を新たに追加しやすいということもあり、今後も新しい技術などの登場により新たな権利が発生するでしょう。
そんな支分権について軽く紹介いたします。
著作権一覧
複製権(21条)
法21条は、「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する」と定められています。
複製権は、著作物を有形的に再製する権利をいいます。
ここでいう複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により、有形的に再製することと規定しています。
漫画や小説を複写機でコピーする場合なんかに働く権利のことです。
有形と書いていますが、録音・録画も機械的な方法で複製できることから複製権に該当します。
上演権および演奏権(法22条)
法22条は、「著作者は、その著作物を公衆に見せまたは聞かせることを目的として上演し、または演奏する権利を有する」と定められています。
上演権とは、著作物(舞台の脚本)などを公に上演する権利を言います。
演奏権とは、著作物(楽曲など)を公に演奏する権利をいい、ピアノ用の楽曲を大勢の観客の前で演じる場合に権利が動きます。
ただし、上演や演奏が非営利・無報酬であった場合は権利が制限される場合もあります。
上映権(法22条の2)
法22条の2は、「著作者は、その著作物を公に上映する権利を有する」と定められています。
上映権とは、著作物(映像や写真など)を公に公開する権利をいいます。
映画を公衆に見せたりする場合に権利が働きます。
ただし、こちらも非営利・無報酬であった場合は権利が制限される場合もあります。
公衆送信権(法23条1項)
法23条の1は、「著作者は、その著作物について公衆送信(自動送信の場合は、送信可能化を含む)を行う権利を専有する」と定められています。
公衆送信権とは、公衆によって直接受信されることを目的として著作物を通信する権利をいいます。
ラジオの無線通信で放送する場合にこの権利が働きます。
ただし、こちらも学校教育番組の放送、視覚障碍者のための公衆送信、政治上の演説の公衆送信などの場合には、権利が制限されることもあります。
口述権(法24条)
法24条は、「著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する」と定められています。
口述権とは、言語の著作物を公衆に直接見せまたは聞かせることを目的として口述する権利を言います。
他人の詩を大勢の顧客の前で朗読するような場合に口述権が働きます。
なお、非営利かつ無償の口述など制限される場合もあります。
展示権(法25条)
法25条は、「著作者は、その美術の著作物またはまだ発行されていない写真の著作物をこれらの現作品により公に展示する権利を有する」と定められています。
展示権とは、著作物(絵画など)を公衆に見せることを目的として展示する権利を言います。
つまり、他人の絵画を同意を得ずに展示会で公開するような場合に権利が働きます。
頒布権(法26条の1)
法26条1項は、「著作者は、その映画の著作物をその複製により頒布する権利を専有する」と定められています。
頒布権とは、映画の著作物を複製し頒布する権利を言います。
フィルムを映画館に貸与したり、映画のDVDを発売する際に権利が働きます。
この頒布というのは、有償であるか無償を問わず、複製物を公衆に譲与または貸与することを示します。
譲渡権(法26条の2第1項)
法26条の2第1項は、「著作者はその著作物(映画の著作物を除く)を原作品または複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する」と定義されています。
譲渡権とは、その原作品や複製物を不特定人または不特定多数に譲渡する権利をいい、絵画の原作を展示会で販売する場合や、CDをホームページで販売することなどにこの権利が働きます。
例えば、他人の著作物を無断で複製し譲渡した場合は、原則として複製権と譲渡権の2つを侵害してしまうことになるのです。
なお、映画について定めていない理由は、すでに頒布権により保護されているためです。
貸与権(法26条の3)
法26条の3では、「著作権者が、著作物(映画の著作物を除く)の複製を、公衆に貸与する権利」と定義されています。
貸与権は、その複製物を公衆に貸与する権利を言い、例えばレンタルショップが音楽CDを貸し出す場合などにこの権利が働きます。
こちらも、映画について定めていない理由は、すでに頒布権により保護されているためです。
翻訳権・翻案権(法27条)
法27条は、「著作者は著作物を翻訳、編曲、または変形し、または脚色、映画化、その他翻案する権利を有する」と定義されています。
翻案権とは、原著作物に依拠し、これを翻訳・翻案などして二次的著作物を創作する権利をいいます。
例えば、小説の翻訳や編曲したりする場合にこの権利が働きます。
ちなみに翻案とは、既存の作品を原案や原作として、新たに別の作品をつくる行為を言います。
二次的著作物にかかわる原著作者の権利(法28条)
法28条は、「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。」と定義されています。
原著作者が二次的著作物に対する権利を有しますので、原著作者以外の者は原著作者の許諾を得ないで二次的著作物を利用してはならないということです。
例えば、ある漫画が映画化された場合、原著作者である漫画の著作者は、その映画の利用(上映・頒布など)について映画の著作者と同じ権利を有するため、頒布や上映にあたっては漫画の著作者の許諾も必要になります。
もちろん、二次的著作物からさらに派生した三次的・四次的著作物についても、著作物について原著作者が実質的に利用されていると言える場合には、法28条により原著作者の著作物の権利がおよびます。
おわりに
今回は著作権である法21条から28条にあたる支分権についてご紹介しました。
これ以外にも、同一保持権や著作隣接権などまだまだ覚える箇所は多いです。
試験は約1ヵ月後!しっかり予習しながら確実に理解いたします。